小松菜のブログ

旅したい。

『私の本棚』(5/15/2025)

お題「好きな本を十冊紹介してください」

お題「我が家の本棚」

 

皆さんこんにちは。小松菜といいます。

今日は、私の本棚の中から好きな本を10冊紹介します。

 

 

それではさっそく一冊目です↓

1,『怒りの葡萄(The Grapes of Wrath)』(1939年、スタインベック)

この作品は、大恐慌時代のアメリカで農地を失った一家が希望を求めてカリフォルニアに移住する過程とその苦難を描いた作品です。

貧困や搾取、人間の尊厳、家族や他者との連帯といった社会的なテーマを描いた、アメリカ文学の重要作といわれています。

この作品を知ったきっかけは、『文豪ストレイドッグス』の登場人物のジョン・スタインベックでした。主人公側に甚大な被害を与えた敵役としてとても印象深かったキャラクターです。

私が持っているものは新潮社から出た新訳版の文庫本上下二巻です。翻訳の好みは人それぞれかと思いますが、とても読みやすい作品でした。

 

2,『銀河英雄伝説(全10巻)』(1982年~1987年、田中芳樹)

天才ラインハルトと知将ヤンの対立・交流と、銀河帝国と自由惑星同盟という二大勢力の戦争を軸とした壮大なSF群像劇です。

映像化は最初にOVAとして長期にわたり制作(1988年)され、2020年代には新作アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』としてリメイクも行われています。コミカライズ版には、道原かつみ先生版と現在も連載中の藤崎竜先生版があります。

原作連載当時から、根強い人気を誇る名作です。

この作品を知ったきっかけは『銀河英雄伝説 Die Neue These』からなのですが、新アニメ版はまだすべてが映像化していないので、どうしても続きを読みたく全巻セットを大人買いしました。

 

外伝を除いても全10巻という文量でありながら難解さを感じさせない構成と文体で、自然と内容が頭に入ってきます。

映像化の際に説明が簡素になっている部分も改めて文字として読むことで印象が変わるので、アニメ派の方も是非読んでみてほしい作品です。

 

3,『旅をする木』(1995年、星野道夫)

この作品は写真家・星野道夫のエッセイ集で、刊行から30年を経た現在でも多くの読者に支持されている本です。

アラスカの自然とそこで暮らす人々との交流を通じて得た思索がとてもやさしい文体で綴られており、忙しい日常の中で疲れた心に沁みる一冊です。

この作品と出会ったきっかけは、以前働いていた職場に近い書店で行われていたアウトドアフェアです。

心がかなり疲れていた時期に半ば現実逃避のようなもので読んでみたのですが、それ以降もちょくちょく読み返しています。私にとっての”心の一時避難場所”の一つです。

 

4,『青春を山に賭けて』(1977年、植村直己)

登山家・植村直己の自伝です。

青春の探検の日々が率直な語り口で綴られており、彼の人柄も見えてくる、世代を超えて共感される名著だといえる一冊です。

書店の本棚にこのタイトルを見つけた時、小学校低学年ぐらいの頃に読んだ小学館版 学習まんが人物館 植村直己 | 書籍 | 小学館がとても面白かったことを思い出して衝動買いしました。ドキドキはらはらニマニマしながら読むのがとても楽しい一冊です。

(当たり前のことながら)面識は全くないのに、植村さんも星野さんも生きていてほしかったなぁ…としみじみと思います。

 

5,『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(2010年、ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール)

この本は、作家・著述家のウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールという本が大好きな二人が”紙の書物”について様々な切り口で語り合った談話集です。

最初に読んだ時は、二人の知識の豊かさと深さにはただただ圧倒されました。

原題は"N'espérez pas vous débarrasser des livres"(本を手放せると思うな)。電子化が進む現代において”紙の本がなくなるか否か”という問いにはもはやタイトルで答えてしまっています(笑)。専門的な話題でもテンポの良い二人の会話文で語られるので、この本もまた読むのがとても楽しい。

暇な時間に知識欲を満たしたいときには是非おすすめの一冊です。

 

6,『浮世の画家』(1986年、カズオ・イシグロ)

作者は2017年にノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロ。戦前・戦中の日本で国粋主義的な芸術を推進した老画家・小野が、戦後の価値観の変化とともに自らの過去と向き合う姿を小野自身の視点から描いた小説です。

 

読み進めていくと、主人公・小野の(おそらく)無意識のうちに目をそらした事実の輪郭が浮かび上がってきます。同時に、彼の内心の揺らぎ、記憶や自己認識の曖昧さが読み取れます。

 

私が初めて読んだイシグロ作品がこの小説なのですが、彼恒例の”信頼できない語り手”という手法の巧妙さと読後感が深く印象に残りました。

イシグロ作品の魅力に触れる入り口として、まず手に取ってほしい小説です。

 

 

7,『ハーモニー』(2008年、伊藤計劃)

システムで人々を完全に管理し最適化することで、「病気や不安のない、理想的な健康状態」を享受できる近未来;ほとんどすべての病を克服し、汚らしいものや醜いものに触れる機会すらない社会で”自殺未遂”を図った三人の少女たちの13年後が物語の現在の時間軸です。

文庫本一冊なのでとても読みやすい文量で、読後の余韻がたまらなく、何度も読み返している一冊です。

夭折の作家・伊藤計劃の遺作であるこの作品は、2015年に劇場アニメ化しています。テレビでこのCMを見たのが伊藤計劃作品との出会いでした。

映画としても、小説としてもおすすめです。


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8,『ピュリッツァー賞 受賞写真 全記録 第二版』

ピュリッツァー賞はアメリカでもっとも権威ある報道・文学・音楽の賞の一つです。

この本は、その中でも報道・特集写真の分野において受賞した写真とその解説が載っています。

1942年のデトロイトの労働争議から2015年のファガーソンで起きた人種差別に抗議する運動・暴動と西アフリカでのエボラ出血熱まで、全348ページに及ぶボリュームたっぷりの一冊です。

 

私は、ピュリッツァー賞といえばケビン・カーターの『ハゲワシと少女』、というイメージでした。つまり、”センセーショナルで議論の的になる、とても痛ましくて社会的インパクトのある写真に贈られる賞だ”みたいなイメージです。

 

もちろんこの本で取り上げられた写真の多くが報道写真なので、悲惨なもの、暴力的な内容が大半を占めます。

ただこの本では一つ一つに対して解説がしっかり入っているので、目を覆いたくなるような痛ましい現実でも、冷静になって考えることができます。

 

自身の不勉強さを思い知らされるとともに、その気付きを与えてくれたという点で、非常に思い出深い一冊となりました。

ピュリツァー賞 受賞写真 全記録 第2版

ピュリツァー賞 受賞写真 全記録 第2版

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9,『1984年』(1949年、ジョージ・オーウェル)

イギリスの作家・ジョージ・オーウェルによるディストピアSF小説です。全体主義社会への強烈な警告としても知られています。

架空の世界の物語であるのにも関わらず、この物語で描かれている言論・思考統制、監視社会の恐ろしさは現実味を帯びているように感じました。

 

詳しい解説はネットで調べたらたくさんの方が解説していらっしゃるのでそちらをご参照ください(すみません)。

文庫本一冊でテンポよく読める文章なので、特におすすめの一冊です。

 

 

10,『美術の物語』(2024年、エルンスト・H・ゴンブリッチ著、 田中 正之著、天野 衛訳)

先史時代からモダニズムまでの美術史の概説書です。500ページの解説とたっぷりの図版集で、美術史をじっくりと学べる一冊です。

 

以前書店で大型本のこの本を見つけたのですが、興味はあったものの広辞苑サイズだったので手が出せす諦めた本です。ポケット版が出た時に速攻で買いました。

ポケット版ですら辞書みたいな一冊ですが、勉強のために読むのもゆっくり読むのも、図版だけ眺めるのも楽しい本だと思います。

 

いざ好きな本を10冊を挙げようとすると、パッと思いつかないものですね。思った以上に時間がかかってしまいました。(というかよくよく考えるとシリーズものも挙げてしまったので10作品でした。)

長くなってしまいすみません。今夜はここまでで終わります。

 

それではまた。